2011-06-07

Never Let Me Go

KAZUO ISHIGURO
このイギリスの作家をご存知でしょうか?最近NHKでも放送されたので知っている方も多いかと思います。
イギリス在住の日本人でも日本語は話せません。

そんな彼の一番新しい作品がNever Let Me Goという作品(邦題 「わたしを離さないで」)。これが日本で映画で公開されています。映画は好きで良く見ますが、これといった秀作というものには、なかなか出会いません。(2度3度見ても、さらに興味が湧いてきたりする。映像、衣装、音楽、キャスティング全てにおいて芸術性が高い。そんな映画に出会うのを楽しみにしているのですが)

そんな中でNever Let Me Goは、Into The WILD以来のぐっときた映画です。


 過酷な運命を懸命に受け入れようとする若者を描いた哀切きわまりない原作小説が、米国出身のマーク・ロマネク監督による静謐(せいひつ)な映像で再現されています。10年ぶりに来日したイシグロさんは「若い俳優たちが深く役を掘り下げ、原作者の自分が知らないことまで教えてくれた」と語っています。

 主人公は、特殊な寄宿舎で育った男女3人。ほかの子供のように絵や詩作に励んで成長した彼らはやがて、他人を生かすために人体の「提供者」として生を受けたことを知ります。過酷な宿命を強いられた若者が、友情や恋愛を経験しながら人生の意義を見いだそうともがく姿が描かれています。

 「状況を受け入れる、というのが重要なテーマ」とイシグロさんは話しています。

 「避けがたい過酷な境遇を受け入れながら、人生に意味を見いだし、ベストを尽くそうとする。それはほとんどの人間がしていること。人生は短い。その中で自分にできることは何か? 読者一人一人に考えてほしかった」とインタビューで答えるイシグロさん。

へールシャムという寄宿学校は子供という時代のメタファーであり、大人の私達が同じ奇妙さであったり恐怖のプロセスを感じるところから物語は始まっていきます。

このKen'S Styleはもっと元気に夢をもって生きてゆくってどういうことなのかということを、洋服屋という垣根を一度はずして皆さんと向き合ってみたいというところから始まっています。

いま思えば、私のブログを出すことが目的ではありません。本人は自分がどのような生活をしているのかわかってしまうBLOGは芸能人のように自分が売物でない限りはあまり積極的になれないのです。

もっと一人ひとりが、今というモーメントの中でガンガジいわく Meet what is now 今ここにあれ、今ここから学べ、いまここを味わえ という事につきるのです。

人は怖がることに怖がり、未知の自分を知り得ません。ある年齢になると周りで起こっている事にわくわくもするが同時に怖くなったりもして情報を自分の価値観でコントロールしようとします。

そのプロセスは子供が成長して大人へなってゆくプロセスと同じです。

大人になると年をとることを受け入れ、死は不可欠であことを受け入れようとしますが、実は自己は自己の創り出す認識でしかないはず。私達人間は歴史的にも幾百の苦難や辛苦に直面しそれを受け入れてきました。今回の東北地方の震災も同様です。

しかし、そのような状況になくとも、人は自分というものに対して消極的になりがちです。自分お仕事や地位というものを人は受け入れても、そこから脱出しようとしません。実際のところ自分の仕事をやり遂げたりすることで尊厳と存在を得ることができます。しかしそれが時に悲劇的なことになることもあります。

この映画では、逃亡という手段は出てきません。しかし我々は現実として死について様々な方法で逃れようとしています。死後の世界について信じたり、何かを残そうとしたりして。 

この作品の中では真の愛は大きな困難や死すらも乗り越える力になることに、そのことについて希望を持っていることが大きな力になっています。

微笑みながら最後のドネーションに立ち向かうTONNY、それを見送るキャッシー。私達の臓器を移植して長く生きるあなた・・・長く生きることは本当に幸せでしたか?とでも言いそうなラストです。

その後の回想シーンで言葉も・・・・あまり言い過ぎると本当にネタバレになるでしょうから、あとはお楽しみに。